出羽守ばなし(2008年8月13日付) 「イギリスでは…」「欧米では…」などと言って話を始める人のことを揶揄(やゆ)して「出羽守(でわのかみ)」と言うのだそうだ。「では」が「出羽」(現在の山形、秋田両県の旧名)と同じ語呂からきた一種の駄じゃれなのだろうが、恥ずかしながら最初はどんな意味なのか分からなかった▲いろいろ調べてみたら、「出羽守」と同様の使い方をする言葉として「豊前守」(憮然(ぶぜん)として見せる人をいう)という説明を見つけ、ようやく意味がのみ込めた▲ ところで、「出羽守ばなし」のやっかいなこととして、話に出てくる事柄について聞く側に知識や体験がない場合、内容がおかしいと思っても、なかなか否定できないことにあるという▲確かにテレビのニュース番組などで、評論家が「○○では-」などと自説を強調する際に持ち出す事例も、初めて聞く者にとっては一種の「出羽守ばなし」かもしれない。だが私自身も相手が知っている、いないはお構いなしに「○○では-」と話すことがある。聞き手がどれだけ理解してくれているかは怪しい限りだ▲「出羽守ばなし」を私なりに解釈すれば、相手の言うことを簡単に鵜呑(うの)みにせず、話の核心や論点を自分なりに考え、理解し、見極めることが大切、という教訓ではないだろうか▲ところで、後輩記者にしばしば「昔は…だった」と話すことがある。実はこれも「出羽守ばなし」に当たるのだそうだ。心したい。(裕) http://www.nagasaki-np.co.jp/press/mizusora/2008/08/13.html
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